竹部成崇先生の論文が国際的な社会心理学の雑誌に掲載されました

本学科教員の竹部成崇先生が筆頭著者?責任著者の論文が国際的な社会心理学の雑誌に掲載されました。論文情報は以下の通りです。

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論文タイトル

Resource Scarcity Priming and Face Perception: A Preregistered Conceptual Replication of Study 1 of Rodeheffer et al. (2012) in Japan

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雑誌名

Current Research in Ecological and Social Psychology

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出版社

Elsevier

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著者

Masataka Takebe (竹部成崇), Kenta Tsumura, Ken’ichiro Nakashima

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リンク

https://doi.org/10.1016/j.cresp.2023.100169

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概要(Abstract)の日本語訳

Rodeheffer et al. (2012)は、人は資源不足を知覚すると、人種的に曖昧な人を外集団成員であると判断しやすくなることを示した。彼らは研究1で、71名の白人参加者に資源不足あるいは資源充足を描写するスライドショーを見せた。その後、1人の白人と1人の黒人の顔を平均化することで作成したバイレイシャルな顔を、合計20個、1つずつ呈示し、それぞれについて、白人と黒人のどちらとみなす方がより的確か判断させた。我々は事前登録をした上で、この実験の概念的追試研究を日本で行った。具体的には、東アジア人参加者に資源不足あるいは資源充足を描写するスライドショーを見せ、その後、1人の東アジア人と1人の南アジア人の顔を平均化することで作成した20のバイレイシャルな顔を判断してもらった。サンプルサイズは769であり、d=0.2の効果を検出する検定力は0.79であった。結果のパターンは元研究と同じであったが、プライミング効果は非有意であった(d=0.1)。非有意となった理由、そして今後の研究の方向性について議論された。

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竹部成崇先生より

「資源が足りないと感じると(無意識のうちに)バイレイシャルな顔を自人種ではないと感じるようになるの!?何それ面白い!(し、社会的意義がある!)」と思って、それを発展させた研究をもう何年も前から行っていたのですが、何回やっても、そもそもRodeheffer et al. (2012)で示されていた結果が再現されませんでした。ただ、それらの研究は元研究(Rodeheffer et al., 2012)で用いられていた方法とは異なる部分が結構ありました。そのため、元研究の結果が再現されないのは、元研究と方法が違うからなのか、その他の理由(例えば、元研究の知見がそもそも頑健ではないから)なのか、明確ではありませんでした。そこで、「よし、一度できるだけ元研究に近い方法で、そして十分なサンプルサイズ≒分析対象者数を確保して、やってみよう」と思って行ったのが、今回出版された研究です。実験の実施?論文の執筆?査読のどの過程においても追試研究(を日本で行うこと)特有の大変さがありましたが、共同研究者の先生方のご協力もあり、最終的になんとか出版に至りました。オープン?アクセス(誰でも読める状態)になっていて、実験で使ったスライドショーなども見ることができるので、興味のある方はぜひ読んでみてください:)

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※本研究はJSPS科研費JP19K14356の助成を受けたものです。

 

 

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